相続税の申告が遅れた場合のペナルティと対応のポイント

相続税の申告には期限が定められており、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告と納付を行う必要があります。

この期限を過ぎると、加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があります。

ここでは、申告が遅れた場合の税務上の影響と、対応の選択肢について整理します。

無申告加算税の対象となるケース

期限内に申告をしなかった場合、原則として無申告加算税が課されます。 

税務署から指摘を受ける前に自主的に申告を行った場合は税率が5％に軽減されます。 

一方、税務調査を経て申告が遅れていたことが判明した場合は、原則15％の加算税が課税され、隠ぺいや仮装と判断された場合には20％に引き上げられることもあります。 

延滞税の発生と納付の遅延による影響

相続税の納付も10か月以内に完了しなければなりません。 

これに遅れると、延滞税が課され、時間の経過に比例して増えていきます。 

令和6年の場合、納期限から2か月以内は年率2.5％、2か月超は年率8.8％の利率が適用されます。 

延滞税は、申告の有無にかかわらず、納税が遅れれば自動的に発生するため、早めの対応が必要です。

遺産分割が未了でも申告は必要

財産の分け方が確定していない場合でも、相続税の申告期限は延長されません。 

このような場合には「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で申告を行い、後日分割が完了した段階で修正申告または更正の請求を行うことになります。 

分割が遅れても、まずは期限内申告が重要であることを押さえておくべきです。 

ペナルティを最小限に抑えるには

申告が遅れてしまった場合は、できる限り早期に自主的な申告と納付を行うことが重要です。 

税務署からの調査が入る前であれば、加算税の軽減や延滞税の増加を抑えることができる可能性があります。 

また、納税資金が不足している場合には、延納や物納といった制度の適用も検討すべきです。 

ただし、それぞれに条件があるため、早めに税理士などの専門家に相談することが推奨されます。 

まとめ

相続税の申告が期限（原則10か月以内）に間に合わない場合、無申告加算税や延滞税といった余計な税負担が発生する可能性があります。

たとえ遺産分割がまとまっていなくても、まずは期限内に申告を行うことが非常に重要です。

申告の必要があるか判断できないケースも多く、放置してしまうと後から高額なペナルティが課されるリスクも否定できません。

こうしたトラブルを未然に防ぐためには、早い段階で税理士などの専門家に相談し、現状に応じた適切な対応を取ることが不可欠です。